空き家税・・・京都市

 京都市では、人口が2021年の1年間に1万人以上減り、全国の自治体で最も多い。投資目的などによる住宅の購入が増えて不動産価格が高騰する一方、市場に流通していない空き家が多く、若い世代が家を買いにくくなる一因になっていた。住宅不足を解消するため、人の住んでいない住宅の所有者に課税することで実際に住んでもらったり、売却や賃貸借を促したりする。税収を、人口増の政策に生かす狙いもある。

 対象となるのは、市街化区域にあって、家屋の固定資産評価額が100万円以上(導入6年目からは20万円以上)の住宅。建物保全の対象となっている京町家や歴史的建造物は対象外となる。借り手を募集している住宅も一定の条件を満たせば課税しない。

 ネックになったのが、固定資産税の仕組みだ。この家の場合、空き家のままだと建物と土地を合わせた固定資産税は年間約2万8千円だが、解体して更地にすると年間9万円になる計算だった。早めに処分したい思いはあったが、「少し馬鹿馬鹿しく思えて」、空き家のまま置いておくことになった。

 解体して更地にするよりも、空き家のままの方が税金が安くなる・・・。住宅の敷地として利用されている土地の税負担を軽減する「住宅用地特例」は、住宅不足の解消に向けた新築奨励を目的に、1973年度に始まった。だが、今では、空き家の解体が進まない一因と指摘されている。

 もう一つ、ネックになり易いのが、狭い道路にしか接していない「再建築不可」、の物件だ。建築基準法が定める条件を満たさない場合、一度取り壊すと新たに建てることができないため、そのままになるケースもある。一般的に木造住宅密集地域に多く、東京都では戦後の市街化などで主にJR山手線の外周部にでき、江戸川や練馬、大田区などに多いとされる。